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博士の就職活動 その3(博士の強みとは?)  

2006年 12月 02日

「博士の強み」と何だろうか?

専門性?
確かにそれは誰もが何よりもまず思い浮かべる事項である。
しかし、その高度な専門性を活かせる様な企業環境になければ、「宝の持ち腐れ」で終わってしまう。
それ故、ある意味では最高の武器になるが、多くの場合は持ち腐れになる可能性が高く、普遍的な強みとは言えない。

それでは、博士の強みとはなんだ?

他の学生より、歳を取り、高い専門性を持っているが故に、「頭が堅い」と思われている博士(私はそうは思わない。純粋な人が多いだけだ。残念ながら私は純粋ではないが…)の強みとは…。

私は、是非「ロジカルシンキング」を挙げておきたい。
これが、おそらく博士が持つ最大で、かつ普遍的な強みなのだと思っている。

ロジカルシンキングとは、文字通り「物事を論理的に考えること」である。

博士は、修士や学士の学生に比べて、ロジカルシンキングに慣れ親しんでいる。
なぜなら、研究を行っていく上では必須となるスキルであり、論理的に物事を捉えることが出来なければ、仮説すら立てることが適わないからだ。

ロジカルシンキングに関しては、他のサイトを参照にして頂きたいが、簡単に言うと、問題を段階的に分解していき、単純な問題に分けていくのだ。そして、それぞれの小問題に対して、事実から基づいてYes or Noを決定していく。
段階的に分解していくとき、気をつけなければないないのが、MECE(ミーシー)に分ける、つまり分解したそれぞれが重複しないようにするのだ。

簡単な例として、
「人間→男、女」、「電子媒体→テープタイプ、ディスクタイプ、メモリタイプ」
だろうか。

実用例を挙げよう。
「薬剤Dは、ストレスによって引き起こされる細胞死を抑制する」という現象があったとする。
これに対して、どんな仮説が立てることが出来るだろうか?
また、その仮説を立証、もしくは反証するためにどんな実験を行えばよいだろうか?

まず、MECEに分けることで、問題を簡単にしていこう。(すみませんが、用語解説まではしませぬ。)
細胞死には大きく分けて、アポトーシスとネクローシスが存在する。
  ↓
さらに、アポトーシスは、カスパーゼ依存経路と非依存経路に分けられる。
  ↓
カスパーゼ依存経路には、デスリガンド、ミトコンドリア、小胞体、直接エフェクターを活性化する経路に分けられる。
  ↓
デスリガンドの経路は、イニシエーターカスパーゼである、カスパーゼ8を経由し、エフェクターカスパーゼを活性化させる。


といった感じに大きな問題を中問題に分け、さらに小問題へと段階的に分解していくのだ。
すると、薬剤Dはこの内、カスパーゼ8を標的としているかも知れないし、その下流でエフェクターカスパーゼを阻害しているのかも知れない、はたまたミトコンドリアからのチトクロームc放出を阻害しているのかも知れない。
という仮説を立てることが出来る。

もちろん、仮説を立てるためには、少なからず実験データが必要である。そもそも現象としての細胞死がアポトーシスであれば、ネクローシスを考慮する必要はなくなるわけだし、ストレスがミトコンドリアをターゲットとしている様なデータがあれば、Dはミトコンドリア経路を抑制している可能性が強まるわけだ。

こうやって、およそ正しいだろう仮説を構築し、それを証明するもしくは反証するデータを実験により求めていき、仮説が正しいのか、正しくないのかを検証していく。

この場合、実験として、チトクロームcの放出をW.Bで求めてみたり、膜電位を調べても良い。
また、下流のカスパーゼ経路が活性化しているかをPERPの切断などで確認すればいいわけだ。

少し長くなってしまったが、このように博士は、ロジカルシンキングにより、問題を構造的に捉えることに慣れ親しんでいるわけだ。

このスキルは、ビジネスの世界でも極めて重要なものである。

一度、「マッキンゼー式世界最強の問題解決テクニック」を読んでみて頂きたい。
ビジネスにおける問題解決方法と、博士が普段から行っている科学的思考には、驚く程の共通点を見つけることが出来る。むしろ相違点を探す方が困難であろう。

という様に、博士の強みは「ロジカルシンキング」である。
と、再度強く申し上げることで、今回の話を終わろう。

次回からは、私個人の就職活動を記述していきたいと思う。
それでは。

by molcelsig | 2006-12-02 14:42 | 就職活動

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