物騒なタイトルですが、前回の続きです。
ちょっと個人的な事情で全く更新できませんでしたので、久方振りです。
神に『天才を見抜く才能』を与えられた、敬虔なクリスチャン、サリエリと、神に『絶対的な音楽的才能』を与えられた、放埒なモーツァルト…。
彼等のそれぞれの才能が最も顕著に表れるシーンがある。
ヨーゼフ2世の妹の音楽教師の選考(妹は、あの有名なマリー・アントワネット。史実にもある通り、彼女の音楽教師はグルックである。)で、モーツァルトの妻コンスタンツィが彼に無断で持ち出した楽譜を見て驚愕するサリエリ…
原本だと言うのに、書き直しのない楽譜。
そして完璧に構成された交響曲。
サリエリは言う…
五線紙の中に閉じこめられた
小さな音符の彼方にー
私は至上の美しさを見た…。
と。
嫌が応うにもモーツァルトの才能を認めざるを得なくなったサリエリの心には、やがて闇が訪れる。そしてその闇は次第に大きくなり、遂にはサリエリに神を捨てさせ、神の子たるモーツァルトに対する憎悪と殺害衝動を抱かせる。
そしてサリエリは、モーツァルトの亡き父レオポルトの亡霊(モーツァルトは幼少からの徹底された教育により、父に必要以上の畏敬の念を感じていた。父の死は、モーツァルトの精神的支柱の破壊に等しい出来事であった。父の死後、オペラ「ドン・ジョバンニ」を作曲するが、放蕩生活を繰り返す主人公ドン・ジョバンニをモーツァルト自身に、それを諌める騎士長を父レオポルトに見立てている。)を演じ、「レクイエム」の作曲を依頼することで、徹底的にモーツァルトを追い詰める。
生活苦と精神的ダメージから、日に日にモーツァルトは衰弱していき、遂には「レクイエム」の作成途中で力尽きる…。
最後の作曲が「レクイエム=鎮魂歌」になるとは、何という皮肉だろうか。
これこそが、サリエリの望んだ結果だったのだ。
天賦の才能をモーツァルトに与えた神への復讐…
そして、サリエリは「凡庸なるものの守り神」になった。
え~、以上。
非常に面白い作品でした。
これほどまでに見ごたえのある作品は昨今無いのではないでしょうか。
モーツァルトとサリエリの関係性の新たな解釈としても興味深く、映画中のオペラはもちろんのこと、背景で流れる音楽も素晴らしい。
3時間という大作ですが、一度ごらんになってください。
では。